
補聴器を使用されている方のなかには、就寝時の取り扱いについて迷う方も多いのではないでしょうか。「寝るときもつけたほうがいい?」「外すと壊れやすい?」などの疑問もよく聞かれます。本記事では就寝時に補聴器を外すべき理由や取り外しに関するよくある疑問についてくわしく解説し、適切なケア方法をご紹介します。
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就寝時補聴器は外したほうがよい?
別に就寝時に補聴器をつけたままでも問題ないのでは?と考える方もいるかもしれません。
ですが、基本的に就寝時は補聴器を外すことをおすすめします。就寝時に補聴器を外すべき理由のひとつは、耳への負担を減らすためです。補聴器を長時間使用していると、耳への負担が蓄積されることがあります。と
くに日中ずっと装着している方は、就寝中に外すことで耳をリラックスさせる時間を作ることができます。また、寝返りを打つ際に補聴器を装用していると耳が圧迫され、耳のなかが傷ついたり、痛みを感じたりする可能性があります。
とくに耳穴に入れるタイプの補聴器は、長時間耳穴を圧迫することで外耳道(耳の穴)を傷つける原因になりえます。そしてもうひとつの理由は、補聴器の故障を防ぐためです。就寝中の汗や湿気が補聴器に影響を与え、故障の原因となることがあります。
補聴器は精密機器なので、水分にはとくに弱いです。汗が補聴器内部に入り込むと、動作不良を起こしたり、音質が低下したりすることもあるため、できるだけ湿気の少ない環境で保管することが大切です。
初めて使う方向け!補聴器の理想的な使い方
補聴器を初めて使うと、今まで聞こえなかった音が急に聞こえるようになり戸惑う方が多いです。
補聴器を装着することで聞こえる音が変わるため、最初はその音に違和感を覚え、初めて使用する方は慣れるまでに時間がかかることがあります。せっかく補聴器を調整して適切な音量になっていても、耳が補聴器の音に慣れていないと、うまく聞き取れないことが起こりえるのです。
補聴器を使いこなすには、使用時間を増やし慣れることが大切です。補聴器を使う時間が短いと慣れるまでに時間がかかる可能性があるので、まずは毎日8時間の装用を目標にしてみましょう。ただし、連続で装着する必要はありません。
たとえば、家族との会話やニュースを聞くのに朝の2時間だけ、昼間の3時間外出時や仕事中に使用するというように、適度に休憩を入れながら無理なく使うのがおすすめです。
補聴器を使い始めたら、テレビの音量を以前より少し小さくしてみる、家族や友人との会話を意識的に聞いてみるなど、日常生活のなかで聞こえのトレーニングをするとよいでしょう。
もし補聴器を使っていて「疲れる」「音が大きすぎる」「違和感が強い」と感じる場合は、補聴器の調整が合っていない可能性があります。その場合は、無理して装着し続けるのではなく、補聴器店や耳鼻科の補聴器相談医に相談しましょう。適切な調整をすることで、より快適に補聴器を使えるようになります。
補聴器を外したらやっておきたいこと
補聴器は一日中活躍してくれる便利なアイテムです。
しかし、精密機器であるため、適切なケアをしなければ劣化が早まり、寿命が短くなってしまいます。補聴器を長く快適に使うためには、外した後のメンテナンスがとても重要です。今回は、補聴器を外した後にやっておきたい3つのポイントをご紹介します。
電源をオフにする
補聴器を外したら、まず電源を切りましょう。
電池式の補聴器の場合は、電池ケースを開けるか、電池を取り外すことで電源がオフになります。充電式の補聴器なら、専用のケースにセットすれば自動的に電源が切れる仕組みになっています。そのままにしておくと、補聴器の機能が無駄に作動し続けてしまい、電池の消耗が早まります。
とくに、ハウリング抑制や雑音抑制機能が働き続けると、余計なエネルギーを使ってしまいます。電池の持ちを良くするためにも、使わないときは電源を切ることを習慣にしましょう。
補聴器や耳栓をキレイに拭き取る
補聴器は、耳のなかや周囲の環境にさらされるため、汚れが付着しやすいです。
耳あな型の補聴器は本体が直接耳に入るため、耳あかがつきやすくなります。耳掛け型の補聴器は、耳栓部分が汚れやすく、本体は汗にさらされることが多いです。音の出口部分に耳あかが詰まると音のとおりが悪くなり、聞こえにくくなります。
湿った耳あかは時間が経つと固まってしまい取り除きにくくなるため、毎日のお手入れが大切です。やわらかい布や専用のブラシを使って、補聴器の本体や耳栓部分をやさしく拭き取るようにお手入れしましょう。
乾燥ケースに入れる
補聴器は精密機器であり、湿気に弱いという特徴があります。
最近の補聴器は防水加工や撥水加工が施されているものもありますが、長時間使用すると内部に湿気がこもりやすくなります。この湿気が原因で、補聴器内部が錆びたり、故障につながることもあります。そのため、補聴器を外したら、乾燥ケースに入れて湿気を取り除くことが重要です。
シリカゲルを使用した乾燥ケースなら、約8時間かけてゆっくり湿気を吸収します。ただし、シリカゲルは定期的に交換しないと効果が落ちるため、取扱説明書を確認しながら適切なタイミングで交換しましょう。
また、電源が必要な乾燥機を使えば、短時間で湿気を除去できるうえ、紫外線照射による除菌効果も期待できます。とくに、湿気の多い梅雨時期や夏場には、毎日の乾燥を徹底することが補聴器を長持ちさせるポイントになります。
まとめ
補聴器を使い始めたら、焦らずに少しずつ慣れていくことが大切です。毎日少しずつ補聴器を使いながら、自分に合った聞こえ方を見つけていきましょう。しかし、毎日使うといっても就寝時は補聴器を外したほうが、耳の健康や補聴器の寿命を守ることにつながります。寝返りによる圧迫や湿気による故障を防ぐためにも、基本的には外して乾燥ケースなどで適切に保管することをおすすめします。日中の使用スタイルは人それぞれですが、夜は耳を休ませる時間を作ることも大切です。補聴器を正しく使用しながら、快適な生活を送りましょう。