補聴器を使う際は、片耳だけでも問題ないのでしょうか?難聴は、片耳だけに症状が出るケースが多いですが、補聴器メーカーは両耳に装着することを推奨しています。この記事では、補聴器を片耳のみでの使用は避けたほうがいい理由と、両耳装着する際に知っておくべきことを詳しく解説しているので参考にしてください。
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補聴器は片耳だけに装着しても大丈夫なのか?
補聴器は片耳だけでも使用できます。片耳だけにすると、単純に費用は半分になるため、経済的な恩恵を受けられます。また、難聴の原因によっては、片耳のみの装着がいい場合もあります。
たとえば、脳梗塞の後遺症などが原因で聴力が低下した場合は、片方の聞こえは衰えていないと考えられるため、片方のみの装着を選択しても問題ありません。実際に、片方用の補聴器も販売されているため、補聴器の専門技術を持つスタッフによく相談のうえ選択しましょう。
しかし、脳梗塞などの例外をのぞき、多くのメーカーは、さまざまな理由から両耳装着を推奨しています。
補聴器は両耳装着したほうがよい
補聴器の両耳装着が推奨されている理由は、主に2つあります。
もう片方の耳も聴力が低下していく
片方の耳が老人性難聴になった時点で、もう片方の耳も悪くなっていくケースが多いです。老人性難聴は、片耳の聞こえが先行して悪くなる傾向がありますが、もう片方の耳の聴力は低下しないわけではありません。症状が軽い耳に補聴器を使わないと、どんどん悪化していくことが多いです。
補聴器は、聞こえを細かくカスタマイズできるため、いつでも聞こえを補正できますが、補聴器をつけていないと聴力は衰える一方でよくなりません。よって、将来にわたって両耳の聞こえを助けられるため、両耳に補聴器を装着することが推奨されています。
補聴器の出力を上げざるを得ない
片方だけに補聴器を装着した場合、人間の「両耳加算効果」の特性を得られません。片耳の補聴器の出力を上げて両耳を助けなければならず、耳を痛める可能性があります。両耳加算効果とは、同じ大きさの音でも、片耳で聞くより両耳で聞いたほうが3dB大きく聞こえるというものです。
片耳だけでよく聞こえたとしても、実際の音よりも小さく聞こえているため、人よりも聞こえの能力は劣っています。そこで、両耳トータルでの聞こえを改善するために、片耳の補聴器の出力は3dB分上げて対応。耳を痛めるリスクがあるため、片耳のみ補聴器を装着することは推奨されていません。
脳の衰えを防ぐ
難聴になると外界からの刺激が減少し、脳への刺激が少なくなります。脳への刺激が減少することにより、認知機能が低下し、認知症になるリスクが高まるのです。補聴器のある耳が影響する脳のみ活性化し、反対側の脳は充分に活性化しません。
また、聞こえの不自然さからコミュニケーションに対し尻込みしてしまい、認知症のリスクが増加します。脳を活性化するためにも、補聴器は両耳に装着したほうがよいとされているのです。
そのほか、多くのメリットがある
両耳に装着することによって、多くのメリットがあります。たとえば、音の方向感覚の改善により、屋外での混在したスペースでの移動が落ち着いてできるでしょう。また、苦手な周波数帯の聞こえ方が改善するため、混同しがちな「白い」「広い」などの言葉でも、明確に違いを把握可能。騒がしい中でも、特定の音を聞き分けられます。
「カクテルパーティ効果」と呼び、雑踏の中のような雑音が多い環境でも会話を続けられる、駅のアナウンスが聞き分けられるなど、コミュニケーションが大きく改善できるため、両耳での装着がおすすめです。片耳でも効果がないわけではありませんが、両耳に装着することで、より効果を実感できるでしょう。
補聴器を両耳装着するときの注意点
多くのメーカーで、補聴器の両耳装着が推奨されています。しかし、補聴器の両耳装着にはデメリットもあります。デメリットをよく理解せずに使用しないことが重要です。
高価である
補聴器ひとつの相場はおよそ10~30万円ほどです。かなりの高額ですが、両耳に補聴器を装着するためには2倍かかります。両耳装着のハードルを高くしている最大の要因が高い価格です。
しかし、片耳装着と両耳装着で効果が異なるため、求める効果によって選択すべきであり、価格で選ぶのはおすすめできません。両耳用の補聴器が高いと感じたら、価格の安い両耳用の補聴器を検討すべきです。
閉塞感がある
物理的に耳をふさぐため、違和感や閉塞感が大きいことがデメリットです。慣れるしか解決方法がないため、使用をやめてしまうケースもあります。さらに補聴器は高価であるため、自分に合う形が高額で購入できない場合、諦めるしかありません。物理的に耳に装着する機器であるため、違和感や閉塞感があるのは大きなデメリットです。
まとめ
補聴器を装着する際は、両耳での使用が好ましい理由と、両耳装着する際に知っておくべきことについて詳しく解説しました。補聴器を使う際は、片耳だけでも問題ありません。しかし、メーカーは両耳に装着することを推奨しています。もう片方の耳も聴力が低下していくことや認知症予防などが主な理由です。
また、比較的問題のないもう片方の耳の聞こえを補正するために、補聴器の出力を上げることは好ましくありません。両耳装着のメリットとデメリットをしっかりと把握した上で、自分にあった補聴器を選びましょう。