
上着やズボンのポケットに入れたまま、うっかり補聴器を洗濯してしまうことは意外と多いミスです。精密機器である補聴器は水に弱く、故障の原因になりかねません。しかし、適切な対応をすれば復旧できる可能性もあるので、まずは落ち着いて対処しましょう。本記事では、洗濯してしまった補聴器の対処法や注意点について解説します。
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防水補聴器でも油断は禁物!
補聴器が水没した場合、もっとも多い故障の原因は「ショート」です。水が内部に入り込んだ状態で電源を入れると、内部の電子回路がショートを起こし、電源が入らなくなったり、修理が必要になったりすることがあります。
マイクやレシーバーも水に濡れると、極端に音量が小さくなったり、音が出なくなることがあります。とくに補聴器は音を増幅する役割を持つため、マイクやレシーバーが正常に動作しないと、本来の機能を果たせなくなってしまいます。
また、防水補聴器であっても、誤って洗濯してしまうと壊れる可能性が高くなります。防水補聴器とは基盤や筐体にナノコートという防水コートが施されている製品です。
マイク周辺や電池ロッカー周辺にもパッキンや防水できるフィルターが採用されているため、多少水がかかってしまっても壊れにくいといえます。しかし、いくら防水だからといって、水に関するトラブルを完全に防げるわけではありません。
たしかに防水性能を備えている補聴器は、通常の補聴器と比べるとある程度水に強いですが、それでも洗濯や水没(海水、薬剤の入った水、プール)などのアクシデントにはやはり注意が必要です。
これは、洗剤を含んだ水が防水性能の基準外の液体であるためです。真水に比べて浸透しやすく、洗濯機の回転や脱水の衝撃も補聴器の電子部品にダメージを与える原因になります。
メンテナンスを怠っている場合、水に落としてしまっただけでも浸水することがあるので、防水機能つきの補聴器を洗濯した場合でも放置せず、適切な応急処置を行うべきだといえます。
補聴器を洗濯してしまったらまずやること
補聴器を誤って洗濯してしまった場合、すぐに適切な対応をすることで故障を防げる可能性があります。焦らず、以下の手順にしたがって処置をしましょう。
1.すぐに補聴器を取り出し、電源を切る
洗濯機の中で補聴器を発見したら、できるだけ早く取り出してください。そのまま放置すると、内部にさらに水が浸透し、故障のリスクが高まります。補聴器の電源を切り、電池ロッカーを開けて電池を取り外しましょう。水没した電池は発電しない可能性があるため、新しいものと交換してください。
2.水気を拭き取る
乾いた布やティッシュで補聴器の表面をやさしく拭き、できる限り水気を取り除きます。強くこするとさらに内部に水が入り込む可能性があるため、強くこすりすぎずていねいに拭き取ることが大切です。
3.風を当てて乾燥させる
補聴器の乾燥には、ドライヤーの冷風や扇風機を使用しましょう。このとき、ドライヤーの温風やストーブで乾燥させないでください。温風を当ててしまうと熱で内部機器が損傷する恐れがあるため、必ず冷風を使い、30分ほどかけてまんべんなく乾燥させてください。
また、天日干しもNG行為です。紫外線や高温で補聴器の素材が劣化し、故障の原因になります。もし、水没時間が長い場合や十分に乾燥できているか不安な場合は、補聴器専用の乾燥容器や乾燥機を使用しましょう。半日から1日程度乾燥させることで、内部の水分をしっかり取り除くことができます。
4.新しい電池を入れ、動作を確認
完全に乾燥したことを確認したら、新しい電池をセットし、電源を入れてみましょう。通常どおり音が聞こえれば、故障は免れている可能性が高いです。しかし、ここでもし問題がないように見えても、一度はメーカーや専門店にチェックしてもらったほうがよいでしょう。
補聴器専門店に行くタイミング
補聴器は日常生活に欠かせない大切な機器ですが、ときには誤って水に濡らしてしまうこともあります。とくに、ポケットや衣類に入れたまま洗濯してしまうケースは少なくありません。誤って洗濯してしまったときは、まず1~3の応急処置をしたあとすぐに補聴器専門店に行くとよいでしょう。
補聴器が水没してしまったら、とにかく電源を入れずにすぐに乾燥させることを優先してください。完全に乾いたように見えても、内部の故障が進行する可能性があるため、心配なときは自分で動作確認せずに補聴器専門店へ持ち込むのが賢明です。
補聴器専門店では、保証期間内であれば無償修理が可能な場合があります。故障箇所が少なければ部品交換のみで済むこともあり、修理費用を抑えられるでしょう。また、修理に出す際は修理期間中の代替機を貸し出してもらえるか相談すると、日常生活の不便を減らせます。
まとめ
補聴器は生活の質に直結する大切なアイテムです。水に触れるとショートし、音が聞こえなくなったり、ノイズが入ってしまうなどの症状が出てしまいます。うっかり洗濯をしてしまったときは、すぐに水気を拭き取って乾燥させ、応急処置を施しましょう。このように、トラブル時には迅速に対応し、適切なタイミングで専門店に相談することが、安心して使い続けるためのポイントとなります。