補聴器は種類にもよりますが片耳5万円~50万円以上するものまで存在します。決して安い買い物ではないので、一度購入すれば一生使い続けたいものですが、残念なことに補聴器にも寿命は存在するのです。快適に過ごすためには、補聴器を適切な時期に買い替える必要があります。今回は補聴器の寿命や買い替えのタイミングについて解説しましょう。
補聴器の寿命は5年程度
補聴器の平均的な寿命は、使用開始から5年間です。これは医療機器の使用期間を表す「耐用期間」に基づくもので、医療機器が適正な使用環境と点検・修理等の維持管理のもとに本来の使用用途として適正に取り扱われた場合に、本来の機能・性能を維持し、使用できる標準的な使用期間を意味しています。
耐用期間は補聴器に同梱された医療機器添付書に記載されており、メーカーが定めているものです。耐用期間は寿命の目安のひとつで、この期間を超過したら使えなくなるということでも、期間以内であれば故障なく使えるということでもありません。使用方法や手入れによっては、寿命は延びたり縮んだりします。
一般的に補聴器は湿気や高温・衝撃に弱く、耳垢や皮脂、ホコリ、花粉、整髪料や化粧品などの汚れで性能が低下するでしょう。そのため、日々の手入れや定期的な点検などにより、寿命を延ばすこともできます。
補聴器を買い替えるタイミング
補聴器を買い替えは、製品性能の低下を感じたときや自身の聴力低下などがきっかけで行うものです。すぐに買い替えするのではなく、まずは購入した店舗で補聴器の再調整やクリーニングなどのメンテナンスを受けたり、症状について相談したりするようにしましょう。
部品交換や修理などが必要な場合には、保証期間・保証内容で出費の負担を軽減できます。使用している補聴器が販売中止・生産中止になっている場合は、メーカーが修理部品を持たず修理できなくなるため、買い替えが必要です。
また、修理できても、聴力が補聴器の調整範囲外となった場合でも、買い替えが必要になります。補聴器は決して安い品物ではないため、一度購入したら長く使い続けたいものですが、技術の進歩に合わせて補聴器の性能も向上し、機能も多様化。補聴器の耐用期間である5年を超えたあたりで性能の低下を感じるようになったら、新しい製品の購入を検討してみることもおすすめです。
補聴器を買い替えるときの注意点
補聴器を買い替えるときには、自宅から近いお店を複数候補に挙げるとよいでしょう。店舗が近ければ継続的なメンテナンスを確保でき、複数候補があれば多くのメーカー製品を比較できます。
また、補聴器を買い替えるときには、補助金制度の利用が可能です。補助金制度を使うことで、補聴器の買い替え費用を抑えられるので、積極的に活用しましょう。
ただし、支援を受けるためには、障がい者手帳の取得が前提となります。補聴器補助金はお金を手渡されるわけではなく、総合支援法に対応した補聴器と引き換えできる助成金の配布や補助金分を引いた価格で補聴器を購入できるようになるのが特徴です。
補聴器補助金の申請は、障がい者手帳を持って居住区の福祉事務所で補聴器給付申請の書類を受け取り、指定病院で補聴器購入費給付申請書・意見書を記入してもらったものを提出して行います。給付許可が下りれば「補装具費支給券」が自宅に届くので、この支給券と印鑑を持ち、支援法対応補聴器店で補聴器を購入・引き換えするのです。
もし聴力レベルが障害者支援法での助成金が受け取れない範囲だった場合には、確定申告の際に医療費控除の申請により、税金面の負担を軽減できます。
新しい補聴器を選ぶときのポイント
新しい補聴器を選ぶときのポイントは、使用者に合った補聴器であることが大切です。補聴器は種類にもよりますが、片耳5万円~50万円以上するものまで幅広く存在します。値段が高いからといっても製品寿命が長いというわけではないので、メンテナンスコストなども考慮にいれて、無理のない範囲の価格帯で購入検討する必要があるでしょう。
価格が高いわりに効果が実感できず、購入後に後悔したという事態を避けるためには、購入前に試聴や返品を確認することや家族に同席してもらって客観的な意見をもらうことも有効です。
販売店舗や製品によっては、補聴器を一定期間貸し出して効果を確かめるサービスを行っていることもあります。使用者の耳型を採取して形をつくる「オーダーメイド型補聴器」の場合はレンタルが受けられないこともありますが、同性能の耳かけ型が試せることもあるので、販売員に問い合わせてみるとよいでしょう。
また、補聴器には耳かけ型・耳あな型・ポケット型・メガネ型などがあり、それぞれにメリット・デメリットがあります。日本でもっとも普及している耳かけ型は、適応範囲の広さやファッション性の高さ、多機能であることがメリットですが、目立ちやすいのがデメリットです。耳あな型は補聴器が目立ちにくく、メガネやマスクの邪魔になりませんが、高価になりがちで試聴できないことがデメリットとなります。
補聴器をつけていることが目立っても問題ないか、メガネやマスクをよく使うか、電池交換やメンテナンスなどが苦にならないか(指が動きやすいかどうか)など、使用者の状態や要望に沿う機種を明確にしておくとよいでしょう。それぞれの型が適用できるかどうかは耳の状態にもよるため、販売員に相談しておくと安心です。
まとめ
補聴器の寿命や買い換える最適なタイミングを解説しました。補聴器の寿命(耐用期間)は平均的に5年とされています。しかしこれは、メンテナンス頻度や使用環境などによって寿命は変わるため、あくまでも目安です。
補聴器を買い替えるタイミングは、補聴器をメンテナンスしても性能改善が見られなかったときや自身の聴力に変動があり補聴器の適用範囲外となった場合とされています。新しい補聴器を選ぶ際には性能や機能の要望を満たしながら、無理なく購入できる価格のものを選ぶとよいでしょう。補助金制度を利用することで購入費の負担を軽減できます。