補聴器は誰でも購入することが可能であり、購入にあたって医師の診察などは必要ありません。しかし、耳鼻科の補聴器外来などを受診することで、聞こえが悪い原因を探り、自分に合った補聴器を購入できます。今回は補聴器購入時の耳鼻科受診について詳しく解説するため、補聴器の購入を検討している人はぜひ参考にしてください。
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補聴器を購入するなら耳鼻科を受診したほうがよい?
補聴器を購入する際、耳鼻科の受診は必須ではありません。しかし、基本的にはまず耳鼻科を受診してから購入するのがおすすめとなります。ここでは、補聴器購入時の耳鼻科受診の必要性について詳しく解説します。
そもそも聞こえの仕組みとは?
人間が外部の音を聞く際は、外耳・中耳・内耳のそれぞれが異なる役割を果たすのが特徴です。具体的には、音や人の話し声などはまず外耳に届き、鼓膜に到達したら中耳のツチ骨・キヌタ骨・アブミ骨を通じて内耳に届けられます。音の信号は蝸牛の細胞によって電子信号に変換されて脳へと送られ、この時点で音をしっかりと聞き取ることが可能となります。
まずは耳鼻科で聞こえが悪い原因を調べることが重要
補聴器は耳の聞こえを補助するものですが、聞こえが悪いと感じる原因は人それぞれです。聞こえの悪さの原因が外耳・中耳にある場合は伝音難聴と呼ばれ、外耳・中耳の損傷などによって起こります。
また、内耳から脳の中枢へと音が届く過程に問題がある場合は感音難聴と呼ばれ、高齢を理由に引き起こされるケースが多いです。さらに、伝音難聴と感音難聴の両方の症状が認められる場合は混合性難聴に該当します。
「耳の聞こえが悪い」という感覚は同じでも、人によって原因や細かな症状が異なるため、そもそも聞こえの改善には補聴器の使用ではなく治療が必要なケースもあります。補聴器購入の際に耳鼻科の受診は必須ではないものの、まずは耳鼻科を受診して原因を探り、自身の聞こえの特徴などを理解した上で補聴器の購入に移るのがおすすめです。
耳鼻科で補聴器外来を受けるときの流れ
耳鼻科の補聴器外来では、聞こえの検査や治療を専門として行っています。ひとりひとりに合った補聴器購入をサポートしてもらえるため、耳鼻科受診の際はぜひ補聴器外来がある病院を選択してください。ここでは、耳鼻科で補聴器外来を受けるときの具体的な流れについて詳しく解説します。
ステップ1:まずは一般耳鼻科を受診
補聴器外来は初回から受診できるわけではなく、まずは一般耳鼻科での診察が必要です。診察・聴力検査によって補聴器の使用による聞こえ改善を見込めると判断された場合、次回より補聴器外来の受診となります。
ステップ2:補聴器外来1回目の受診
補聴器相談医のカウンセリング後、耳型採取や補聴器選びに移ります。補聴器選びの際は、補聴器技能士の資格を有するプロのスタッフにより丁寧にサポートしてもらえるため安心です。
ステップ3:補聴器外来2回目の受診
前回の受診により選定された補聴器をつけて聞こえの検査を行います。検査に使用した補聴器はそのまま貸し出しとなるため、受診後は自宅に持ち帰って次回の受診まで試聴に使用することが可能です。
ステップ4:補聴器外来3回目以降の受診
補聴器の使用状況や聞こえの改善具合をチェックしながら、1か月に2回程度のフィッティングを実施します。試聴期間は約3か月です。
ステップ5:補聴器購入
試聴期間を通して補聴器の使用による聞こえの改善効果が認められた場合、ここで補聴器の購入が可能となります。この時点で補聴器が合わないと感じれば、補聴器を返却して購入しないという選択もできます。
補聴器の購入は医療費控除の対象になる?
補聴器は2018年より医療費控除の対象となりましたが、補聴器を購入する人が誰でも控除を受けられるわけではありません。そもそも医療費控除とは、治療や療養に必要である場合にのみ受けられるものです。そのため、補聴器に関しても、医師による診察や治療の際に補聴器が必要であると認められる場合にのみ控除の対象となります。
具体的には、耳鼻咽喉科学会により認定された補聴器相談医による診察が必要です。補聴器相談医はどの耳鼻科にでも在籍しているわけではないため、事前にホームページをチェックしたり電話で問い合わせたりして確認しておきましょう。
また、補聴器の購入自体に医療費控除が認められた場合でも、電池購入や修理・メンテナンスにかかる補聴器の維持費の医療費控除については、各税務署によって判断が異なるのが現状です。さらに、医療費控除を受ける場合は、会社で年末調整をしている人でも自身で確定申告が必要となるため注意してください。
まとめ
今回は、補聴器購入時の耳鼻科受診の必要性や流れ、医療費控除を受ける際の注意点について詳しく解説しました。補聴器は医師の診察なく誰でも購入することが可能ですが、聞こえが悪いと感じる原因によっては、治療により聞こえが改善するケースもあります。「補聴器を買ったのに無駄になってしまった」「自分に合う補聴器ではなかった」といった失敗を防ぐためにも、一般耳鼻科を受診し、補聴器外来へとつなげてもらうのが賢明です。
補聴器外来ではプロのサポートのもと、自分にあった補聴器を選択して3か月ほど試聴することが可能です。合わないと感じた場合は試聴を終えて補聴器を購入しないという選択もできるため、まずは受診してみるのがよいでしょう。また、補聴器購入で医療費控除を受けたい場合、補聴器相談医による診察が必要となります。